自己奉仕バイアスとは何ですか?
Q:自己奉仕バイアスとは何ですか?
A:自己奉仕バイアスとは、成功したときは自分自身の能力、失敗したときは外部環境・外部要因によるものだと思いこむ考え方です。成功時に自信につながるというプラス面がありますが、失敗時には他責にしてしまい、内省ができずに同じような失敗を繰り返す、といったマイナス面もあります。
自己奉仕バイアスは、日常生活でもよく見られる傾向です。
例えば、
- テストの点数が良かったときは自分の学習の成果で、芳しくない時は体調のせいだと考える
- 業務がうまくいっているときは自分の手柄だと考え、問題が起こるとチームメイトのせいにする
- 成果が出れば自分の努力の結果だと考え、成果が出ないと「上司の指導が悪い」と思う
では、どうしてこういった自己奉仕バイアスは起こるのでしょうか?
自己奉仕バイアスが起こる要因
バイアスとは「偏り」、「傾向」という意味で使われています。人が様々なことを記憶し、経験値を得ていくと、自然とそれが「先入観」になっていきます。この「先入観」に捉われすぎると、偏ったものの見方となり、物事を正しく判断することができなくなってしまいます。人にはいくつものバイアスがあり、各々は独立したものではなく互いに関係し合っています。
例えば、「自己奉仕バイアス」には以前ご紹介した「確証バイアス」が関係しています。これは一つの思い込みがあると、それを支持するような情報ばかりが目について、最初の思い込みをより強化してしまう、というバイアスです。
「自己奉仕バイアス」、自尊心を保ちたい、自分の気持ちをポジティブに保ちたい、また、他人から自分がどう見られているかをコントロールしたい、といった気持ちから起こると考えられています。
つまり「自己奉仕バイアス」は人として非常に根源的なものであり、抜け出すことは簡単ではありません。
自己奉仕バイアスとの向き合い方
脱却は簡単ではない「自己奉仕バイアス」ですが、意識で改善をすることができます。
まず自分自身については、冷静に、適切な判断のもとで、何が原因でその結果に至ったのか、
分析してみる習慣をつけましょう。
成功・失敗した要因は何だったのか、自分が考えた以外に不足している情報や考えるべき論点はないか。丁寧に整理した内容を、今後の教訓にしていくのです。
また、周囲に「自己奉仕バイアス」が強い人がいた場合には、ゆっくりと話を聞きましょう。いきなり否定するとバイアスに拍車をかけてしまうため、相手の考えを丁寧に聞いた後、ともに考える許可を得、その後一緒に論点を整理していく事が有効です。