人的資本とは何ですか?
人的資本とは
従業員のスキルや能力、知識など、人に付随する能力を企業の「資本」とする考え方のことです。相対する言葉に「人的資源(人件費はコストとして消費されるという考え方)」があります。近年は「人的資本」の考え方に注目が集まっており、投資して価値を高めることが企業価値の向上に繋がると言われています。
人的資本が注目されている背景
人的資本への取り組みが注目されている背景は何なのでしょうか。
ESG投資とSDGs
近年ESG投資やSDGsの重要性が高まっています。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字からなる言葉です。SDGsは持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の略称です。近年、投資家は企業の財務情報だけを評価するのではなく、「将来的に持続可能なビジネスを行っているか」という観点で企業を評価するようになりました。
人的資本はESGのうち企業統治(Governance)や、SDGsの働きがいに含まれていることから、これらへの関心が人的資本への関心に繋がっています。
人的資本に対する情報開示の流れ
2019年にISOが人的資本マネジメントに関して、社内議論用・社外開示用の指標(ISO30414)を整理しました。その後2020年8月に米国証券取引委員会が上場企業に対して人的資本に関する情報開示を義務付けています。ここでは定性情報だけでなく定量情報の開示も義務化されていました。そして日本にも、この流れはすでに発生しています。2020年1月に持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会が発足しました。その研究会の報告書として人材版伊藤レポートが公開され、注目を集めています。
人材版伊藤レポートとは?
「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」の報告書のこと。座長を務めた一橋大学名誉教授の伊藤邦雄氏にちなんで通称がつけられている。経営戦略と連動した人材戦略について、3つの視点と5つの共通要素を提示した。2022年5月にはこの内容を深掘りし、実践事例を加えた人材版伊藤レポート2.0が公表された。人的資本の重要性を認識するとともに、人的資本経営という変革をどう具体化し、実践に移していくか、有用となるアイディアがまとめられている。
人的資本を高めるメリット
人に対して投資をし、人的資本を高めることで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
生産性が向上する
まず人的資本を高めるためには、いい人材を採用したり、従業員に教育投資をしたりすることが必要不可欠です。会社が従業員のスキルアップを支援し、より活躍できる環境を整備すれば、従業員のスキルが高まるだけでなく、会社に対する貢献意識も変わってきます。結果的に、より生産性の高い仕事をしようとする従業員が増え、会社全体に利益をもたらします。
企業価値が向上する
従業員がよりよい成長をしていくと、自社製品やサービスそのものが改善されたり、新規事業がうまくいったりと、顧客に対して好影響をもたらす可能性があります。顧客のニーズに応える機会が増えれば増えるほど企業価値は高まり、社会的なイメージの向上や、採用活動に好影響をもたらします。
投資家から積極的な投資を得られる可能性が高まる
前段でお伝えしたように、いま人的資本を含む非財務情報に注目する投資家は増えています。これは企業の資本に無形資産が増えてきており、財務情報だけではその企業が今後も持続的な成長を遂げられるかどうか判断が難しくなってきたからです。人的資本を高め、情報を開示していくことで、投資家からの評価は上がり、より多くの投資を受けられます。
人的資本経営に取り組むなら、まずは人材データの可視化から
人材を資本と捉え、守り伸ばしていくためには、まず社内にどのような「人材」がいるのか把握することが大切です。ここでいう「人材データ」とは、従業員ひとり一人の人事データはもちろん、どのような資格・スキルを保有しているか、業務経験や異動履歴、人事評価履歴など、人材に投資した後に得られるデータも含みます。
エン・ジャパンが提供するTalent Viewer(タレントビューアー)は、株式会社プラスアルファコンサルティングのTalent Pallet(タレントパレット)の多機能なシステムと、エン・ジャパンが約40年間人事領域で培った人事課題を解決するサポートが組み合わさった、タレントマネジメントシステムです。
人事データをただ管理するだけでなく、定点観測や多角的な分析機能で人事課題を解決まで総合的にサポートします。
ご興味があればぜひ一度お問い合わせくださいませ。