クレドとは何ですか?
Q:クレドとは何ですか?
A:企業の価値観・行動指針を簡潔に表現したものをクレドと言います。経営理念と同義に扱われますが、経営理念をより行動に落とし込みやすくしたものだと言えるでしょう。
クレドという言葉はラテン語で「信条」を意味します。アメリカの企業、ジョンソンエンドジョンソンが考案し、世の中に広めました。経営理念と同義で扱われますが、「従業員が日々意識しやすいように簡潔になっている」「浸透しやすいように、抽象的な表現を避けてある」特徴があります。
有名なクレドは?
もっとも有名なのは、クレドを世の中に広めたジョンソンエンドジョンソンでしょう。この企業のクレドは以下のようなもので、企業として遵守すべき事柄や方向性の優先順位を示しています。
- 第1の責任は顧客に
- 第2の責任は全社員に
- 第3の責任は地域社会に
このクレドの浸透を世の中に広めたのはある事件がきっかけでした。
事件の概要
1982年、シカゴ近郊に住む12歳の女の子が、ジョンソンエンドジョンソンの「タイレノール・エクストラ・ストレングス」を服用したところ、混入していたシアン化合物によって命を落としました。その後も7名の死者を出し、毒物入りの瓶も数本回収されましたが、いまだ事件は未解決となっています。
この事件は「タイレノール事件」と呼ばれ、その後の模倣犯も生み出してしまいました。
ジョンソンエンドジョンソンの対応
ジョンソンエンドジョンソンは事件を受けて、緊急経営会議を開きます。ただし、この段階では事件について分かっていることは少なく、毒物混入がジョンソンエンドジョンソンの過失なのか、はたまた外部の悪意を持った第三者の仕業なのかも判然とせず、そもそもシアン化合物混入自体も「疑いがある」レベルでした。
しかしながらジョンソンエンドジョンソンは、
- 各マスコミやメディアを通して、「タイレノールを飲まないように」と警告
- 疑いのある全製品の回収
- 異物混入を防ぐ新パッケージを考案
上記の対応を速やかに実行したのです。
早期に対応することで、自社に過失がない事柄についても責任を負う可能性があったにも関わらず、優先されたのはクレドの1つ、「第1の責任は顧客に」だったのです。
当時はまだ緊急対応マニュアルなどの整備もなかったといいますから、経営陣はじめ社員全員が、まさにクレドに立ち返ったのでしょう。
クレド作成のメリット
クレド作成のメリットは大きく3つあるといわれています。
①コンプライアンス遵守
②社員のエンゲージメント向上
③社員の主体性・自主性の向上
ルールや規則を数多く作るより、一丸となれる「全員にとって大切な信条」を共有することで、企業力をあげていきたいですね。