2020年下半期 採用難易度レポート
サマリ
- コロナ禍の影響!2020年6月、全国の有効求人倍率は「1.11」。5ヵ月連続の低下。
- 主要都市の有効求人倍率は、東京「1.02」 、愛知「1.13」、大阪「1.04」、福岡「0.98」に低下。
- 東京・愛知・大阪・福岡の職種別有効求人倍率(10職種)にも注目!
2020年6月、全国の有効求人倍率は「1.11倍」。5ヵ月連続の低下。
厚生労働省が発表した2020年6月の有効求人倍率(季節調整値)は「1.11倍」。前月を0.09ポイント下回りました。全国的な求人数は前月に比べ1.9%減。逆に求職者数は5.4%増となり、有効求人倍率の低下に繋がっています。
有効求人倍率「1.11倍」は、2014年の年間有効求人倍率とちょうど同数値。リーマンショック後の2009年~2011年付近を求人倍率の底とすれば、まだまだ「1倍」を割っていない現状となっています。とはいえ、求職者に優位だった売り手市場は、企業優位の買い手市場へと変貌し始めています。
一般的な買い手市場では、特に人気職種に、多くの求職者からの応募が殺到するという状況が起こります。現在は加えてのコロナ禍があり、「採用する人材の見極め」を、オンラインで実施する必要も。求職者側だけでなく、企業側でも変化する必要があり、採用の難易度はこれまで以上に上がることが想定されます。
47都道府県での有効求人倍率。東京「1.02」、愛知「1.13」、大阪「1.04」、福岡「0.98」に低下。
続いて、全国47都道府県の有効求人倍率を確認していきます。
※都道府県別の有効求人倍率は、「就業地別」の調査結果データを採用しています。「受理地別」の調査結果と比較して、より各都道府県の就業数に即した数値となっております。ご了承ください。
2020年6月時点で、東京は「1.02倍」、愛知は「1.13倍」、大阪は「1.04倍」、福岡は「0.98倍」に低下。特に愛知は2018年6月から「0.8ポイント」と他主要都市と比較して大きく下落。また福岡は、主要都市の中で唯一「1倍」を割る結果になっています。
ちなみに、47都道府県の中で、最も高い有効求人倍率だったのは福井の「1.59」倍でした。次点は岡山の「1.51」倍。3位は島根の「1.47」倍となっています。
2年前と比較して、もっとも多く下落したのは石川の「0.83ポイント」。次いで、愛知と富山が「0.8ポイント」の下落となっています。
職種別の有効求人倍率。代表的な10職種の有効求人倍率。
代表的な10職種の有効求人倍率について、2年前である2018年との比較を確認していきましょう。「介護サービス職」を除いて、全ての職種において、有効求人倍率が下落していることが見て取れます。特に「接客・給仕の職業」「商品販売の職業」「ドライバー」の下落が著しく、コロナによる休業や、求人数の低下が大きく影響していることが見て取れます。
以下からは、東京・名古屋・大阪・福岡地区の職種別有効求人倍率を比較していきます。
南関東の求人倍率推移/東京都の「職種別」有効求人倍率
東京労働局が発表した2020年6月の求人・求職バランスシートより、都内10職種に関する有効求人倍率を抽出しました。求人倍率が全国平均より下回った数値は赤字で表記しています。
有効求人数も有効求職者数も圧倒的に多い東京都。ほぼ全ての職種で、全国平均の有効求人倍率を上回っています。とはいえ、昨年「9倍」以上の求人倍率となっていた「接客・給仕の仕事」は「1.81倍」まで大きく低下。有効求人数が1万件ほど減少していることもあり、コロナの影響を強く受けていることが見て取れます。
東海の求人倍率推移/愛知県の職種別有効求人倍率
愛知県の職種別有効求人倍率は上記のようになっています。愛知県は「IT関連職」のみ、全国平均を下回る傾向があり「1.33倍」。他の主要都市エリアよりも、比較的、採用しやすい地域と言えそうです。
また、もっとも求人数が多いのが「福祉関連職」。10職種の中だけでなく、愛知県の全職種の中でもっとも求人数が多いため、求人倍率は「5倍」以上。介護職の採用がもっとも難しい地域の一つと言えるでしょう。全国拠点を持つ福祉介護事業者であれば、他地域での採用に注力してみることも手かもしれません。
近畿の求人倍率推移/大阪府の職種別有効求人倍率
「営業の職業」「商品販売の職業」「建築・土木技術者等」「美術家、デザイナー等」、全国平均の有効求人倍率を下回る職種が多いのが大阪府。
各地で引っ張りだこで、高い求人倍率になっている「営業の職業」「建築・土木技術者等」は、大阪エリアでの採用が有効になりそうです。
北九州(福岡)の求人倍率推移/福岡県の職種別有効求人倍率
最後は、福岡の10職種について確認します。半分の5職種が全国平均を下回る求人倍率。また残りの5職種は全国平均を上回っていても、大きな乖離がないという点も特徴です。
福岡県内の多くの地域で、就職を機に地元を離れる若者が多い傾向があり、若手採用は数値以上の難しさがあるという声もあり、他地域からの転入者も含めて、Uターン採用を視野に入れることも重要になりそうです。
レポート結果のまとめ
ここまでが【人事のミカタ】にて整理した採用難易度のレポートでした。長らく続いた求職者優位から、企業優位にシフトしてきており、一見すると「中途採用がしやすくなった」ように見えます。
ただ同時に、求職者の労働観の変化にも着目する必要があります。以前のように「1社に長く」と考える求職者は減少傾向にあり、特に若手に顕著です。一生モノのスキルはなかなかないこと、企業自体の寿命が短命化しており、自らキャリアを磨いてステップアップしていく意識を持つ方も増えてきています。
そう考えると、ただ数を集めるだけの採用からは脱却し、「自社にとってマッチする人材の定義づけ」「そういった人材の見極め」「入社した優秀人材が流出しないための企業側の取り組み」の3つがより求められるようになるでしょう。
採用要件の検討からエンゲージメント向上まで、ワンストップで
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